ストーリーに戻る
キャセイパシフィック航空2018年度決算を発表

キャセイパシフィック航空2018年度決算を発表

 

 

2018年

2017年

前年同期比

総売上高

百万香港ドル

111,060

97,284

+14.2%

純利益

百万香港ドル

2,345

(1,259)

+3,604

一株あたり利益

香港セント

59.6

(32.0)

+91.6

一株あたり配当金

香港ドル

0.30

0.05

+0.25

 

キャセイパシフィックグループは、2018年度の決算を発表しました。キャセイパシフィック航空の会長である ジョン・スローサーの声明は、以下の通りです。

キャセイパシフィック航空 会長の声明

  要

昨年の世界経済は総じて好況が続いたものの、キャセイパシフィックグループを取り巻く環境は従来にも増して厳しいものでした。他社との競争が激化し、燃料価格が上昇し、また米ドル高が続きました。しかしながら、現在推し進めている企業改革計画は順調で、業績に好影響をおよぼす結果となりました。新たな収入源の確保やネットワークの増強、香港のハブ機能強化、またより優れた価値を顧客に提供し、業務効率化と生産性向上させることに注力するものです。

キャセイパシフィックグループの2018年度(1〜12月)決算における純損益は、前年の12億5,900万香港ドルの赤字から23億4500万香港ドル(約332億9900万円、1香港ドル=約14.2円)の黒字へと転じました。一株あたりの損益は2017年の32.0香港セントの損失から、2018年は59.6香港セントの利益となりました。キャセイパシフィックグループの2018年下半期の純損益は、2017年下半期の7億9,200万香港ドルの黒字、2018年上半期の2億6,300万香港ドルの赤字を経て、26億800万香港ドルの黒字に転換しました。キャセイパシフィック航空とキャセイドラゴン航空の2社を合わせた2018年下半期決算では、2017年下半期決算の15億3,800万香港ドルの純損失、2018年上半期決算における9億400万香港ドルの純損失から一転し、11億4500万香港ドルの純利益を計上しました。

旅客市場における供給座席の過多は中国大陸の航空会社をはじめとした競合との争いを激化させました。このことが特に下半期における主要路線のイールド(旅客1人を1キロメートル輸送することで得る収入)を押し下げる圧力となりました。しかし、旅客事業では供給座席数の増強に加えて顧客サービスと収益管理に対する徹底した取り組みが功を奏しました。競争激化の状況下でも座席占有率を維持しながらイールドの改善を実現しました。貨物事業は堅調に推移し、貨物輸送能力、イールド(貨物1トンを1キロメートル輸送することで得る収入)、貨物占有率は上昇しました。

燃料価格は10月まで上昇を続けた後、最後の2ヶ月間で下落傾向を見せました。また米ドル高基調は下半期の純利益を押し下げる要因となりました。

2017年に企業改革計画の基盤を固めた後、2018年には香港以外の拠点での事業再編に着手し、生産性の改善やデジタル機能の増強を推進しながらグローバルビジネスに集中しました。機内食の品質や機内環境の快適性を高めると同時に、乗客との接点やロイヤリティプログラムを見直しました。またネットワークの増強とサービス提供トレーニングの改善も図りました。

人民元安に伴うマイナス影響はあったものの、子会社や関連会社からの業績への貢献は満足いくものでした。

キャセイパシフィックは2018年末にDHLインターナショナルが保有するエアホンコンの株式40%を取得し、エアホンコンを完全子会社化しました。同時に、エアホンコンとDHLインターナショナルとの間でのブロックスペースに関する新たな15年契約を締結しました。

 

事業業績

2018年における旅客事業の売上高は前年比10.1%増の731億1900万香港ドルとなりました。新規路線の開設と既存路線での増便を反映し、供給座席数は3.5%増えました。座席占有率は0.3%ポイントの減少で84.1%となったものの、イールドは上級クラスでの堅調な需要や燃油サーチャージの増収、収益管理の徹底に伴って6.7%増の55.8香港セントとなりました。

2018年には南寧、済南、ブリュッセル、コペンハーゲン(季節運航)、ダブリン、ワシントンD.C.、ダバオ、メダン、ケープタウン(季節運航)、徳島(季節運航)の計10都市への就航を果たしました。さらに2019年3月にはシアトルへ乗り入れ、4月には日本の小松へも就航します。また旅客需要に応える格好で既存路線での増便も図りました。香港とコタキナバル、デュッセルドルフを結ぶ2路線は運休としました。

2018年の貨物事業は堅調な需要に支えられ好調を維持しました。グループの売上高は前年比18.5%増の283億1600万香港ドルとなりました。キャセイパシフィックとキャセイドラゴンを合わせた貨物輸送能力は2.6%増強されました。貨物占有率は1.0%ポイント上昇し68.8%となりました。輸送貨物重量は4.7%増え、イールドは輸送単価のより高い特殊貨物の増加と燃油サーチャージの上昇を反映し、14.7%増の2.03香港ドルとなりました。

キャセイパシフィックとキャセイドラゴンの燃料費(燃料ヘッジによる影響を除く)の合計額は、燃料価格の上昇と運航便数の増加に伴い、前年から75億4500万香港ドル(31.1%に相当)増加しました。一方で、より優れた燃費効率を備えた運航機材の導入を継続することで、燃料の単位消費率は1.3%減少しました。燃料ヘッジによる損失も減少しました。ヘッジの影響を加味した燃料費は前年を27億5700万香港ドル(8.9%に相当)上回りました。燃料費はグループ最大のコスト項目であり、2018年における事業コスト全体の30.9%(2017年は30.7%)を占めています。

有効トンキロあたりのコスト(燃料費を除く)は、生産性向上と業務効率化を進めたことで微増に抑えられました。

香港国際空港の混雑と汎中国圏の航空管制による制約はグループのコストを押し上げる要因となっています。運航の信頼性向上を図るためにさらなる取り組みに努めています。

2018年には8機のエアバスA350-1000型機を受領しており、2021年末までに同型機を計20機運航する予定です。一方で3機のエアバスA330-300型機とボーイング747-400BCF貨物専用機、ボーイング777-200型機、ボーイング777-300ER型機を各1機の計6機の退役を完了しました。

 

データセキュリティー

2018年10月、キャセイパシフィックとキャセイドラゴンの乗客データへの不正アクセスに関する声明を発表しました。不正アクセスを発見後、直ちに不正アクセスを遮断し原因の究明と調査に着手しました。これまでのところ個人情報が悪用された事実は確認されていません。影響を受けた情報システムは運航業務システムとは別物であおり、フライトの安全性に影響はありませんでした。影響が及んだ乗客への連絡は済ませており、香港警察ならびに関連当局へ通知しました。

 

今後の見通し

2019年も厳しい事業環境が続く見通しで、米ドル高や地政学的な不安定要素、旅客および貨物の需要を冷え込ませかねない世界的貿易摩擦といった不安要因が危惧されます。競合他社とは特に長距離路線のエコノミークラスを中心に激しい競争が続くとともに、運航コストが上昇することが予想されます。このような要因による影響は、旅客と貨物の両方の事業におよぶものと予想されます。

企業改革を着実に実行に移すことで、長期にわたって持続的に成長できる企業体質を構築できると確信しています。2019年には9つの主要業務プロセスでの再編をさらに進め、関連する根本的構造改革との相乗効果を引き出しながら、常に改善に取り組む企業文化の確立に努めてまいります。また、現在香港からの直行便が無い都市への運航ネットワークを広げ、高需要路線での便数を増やし、燃費効率の優れた航空機の導入を進めながら厳しい競争に挑んでまいります。また乗客サービスと生産性の向上にも注力し、投資を続けてまいります。

昨年一年間を通してスタッフが献身的かつプロフェッショナルな姿勢で業務に臨んでくれたことに対し、敬意を表したいと思います。私どもはチーム一丸となってキャセイパシフィックとキャセイドラゴンをより強く優れた航空会社へと成長させるために必要な努力を続けてまいります。これまで70年以上にわたって運航の拠点としてきたホームタウンである香港にこれからも多大なる投資を続けながら、アジア最大かつ最重要である国際航空輸送拠点としての香港の地位を高めることに、今後も取り組んでまいります。

 

2019年3月13日

キャセイパシフィック航空会長

ジョン・スローサー