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キャセイパシフィック航空 2021年度上半期の決算を発表

キャセイパシフィック航空 2021年度上半期の決算を発表

    2021年上半期 2020年上半期 前年同期比
総売上高 百万香港ドル       15,854       27,669    -42,7% 
純利益(損失) 百万香港ドル       (7,555)      (9,865)    -23.3%
一株あたり利益(損失) 香港セント       (122.1)      (228.1)    -46.5%
一株あたり配当金 香港ドル  -  -   -100.0%
 

キャセイパシフィック航空(本社:香港、最高経営責任者、オーガスタス・タン)はこのたび、2021年度上半期(1〜6月)の決算を公表しました。上半期決算の発表に伴う、キャセイパシフィックの会長、パトリック・ヒーリーによる声明は以下のとおりです。

 

キャセイパシフィック 会長の声明

2021年上半期も、キャセイグループは新型コロナウイルスによる大きな課題に直面しており、弊社の歴史上最も厳しい状況が続いています。変異株ウィルスが出現したことで、香港および一部の主要市場では旅行制限や検疫措置が厳重化されました。

特に、本年2月に香港政府が香港拠点の乗務員に対する厳しい検疫措置を導入したことは、当社の旅客および貨物市場でのサービス提供能力に影響を与えました。旅客ならびに貨物の運航数を大幅に削減したため、毎月のキャッシュバーン(現金流出)が増加しました。

継続した便の運航にあたっては、香港拠点の乗務員に長期の勤務サイクルを導入しました。この自主「クローズドループ」の運用規範は、21日間の勤務の後、14日間の隔離期間を設けるというものです。クローズドループ期間中、乗務員は飛行中でないかぎり、ホテルでの隔離生活となりました。この取り決めは、乗務員とその家族に大きな負担を強いるものでした。新型コロナウイルスによってもたらされた新たな運用条件を遵守し、高い志のもと業務を遂行し続けている世界中の乗組員および運用・サービスチームの皆さんに感謝します。

その後、乗務員の検疫措置が一部緩和されたことで、上半期末には貨物輸送能力を回復し、旅客輸送能力を徐々に増加することができました。

弊社グループの2021年上半期決算における純損益は、前年同期の98億6,500万香港ドルの赤字に続き、75億6,500万香港ドル(約1,076億4,995万円、1香港ドル=約14.23円)の赤字を計上しました。キャセイパシフィック単独の税引後損益は前年同期の73億6,100万香港ドルの赤字に続き、50億3,100万香港ドルの赤字となりました。また子会社および関連会社からの分配も前年同期の25億400万香港ドルの損失に続き25億3,400万香港ドルの損失となりました。

2021年上半期の損失には、主に退役、もしくは貸主への返却前に採算が取れる運航再開の見通しが立たない航空機11機に関する5億香港ドルの減損および関連費用、4億300万香港ドルのリストラ費用が含まれています。これに対し、2020年上半期には、16機の航空機(12億4,200万香港ドル)および一部の航空サービス子会社の資産(12億2,300万香港ドル)の減損および関連費用が発生しました。これらの例外的な項目の調整後、キャセイグループの2021年上半期の純損益は66億6,200万香港ドルの赤字(前年同期:74億香港ドルの赤字)、キャセイパシフィックの2021年上半期の損益は41億6,800万香港ドルの赤字(前年同期:60億8,000万香港ドルの赤字)となりました。

 

2021年度上半期 キャセイパシフィックの業績

2021年上半期の旅客事業による売上高は、新型コロナウイルス感染症に関する世界各地での渡航規制や検疫要件により、深刻な影響を受けて前年同期比 92.8%減の7億4,500 万香港ドルにとどまり、有償旅客キロ(RPK)は 95.8%減、旅客定員は85.0%減となりました。売上の減少は新型コロナウイルスの感染拡大防止のために実施されている世界各国・地域での渡航規制や出入国制限、検疫措置による甚大な影響によるものです。2021年上半期の総輸送旅客人数は15万7千人で、1日あたりの平均旅客数は868人となり、前年同期比96.4%減に、座席占有率は18.9%(前年同期67.3%)となりました。

貨物事業の業績は、乗務員に対する検疫措置や旅客機の減便などによる貨物輸送能力の低下という影響を受けました。輸送能力を示す有効貨物トンキロ(AFTK)は前年同期比 31.9%減となりました。輸送貨物重量は前年同期比 17.7%減の、54万9 千トンとなりました。売上高は前年同期比0.6%減の111億1,200万香港ドルとなりましたが、貨物のイールド(貨物1トンの1キロメートル輸送あたりの収入)が前年同期比24.4%増の3.37香港ドルとなり、貨物搭載率が81.4%(前年同期69.3%)と記録的に上昇したことに支えられ、厳しい外部環境下においては堅調でした。

キャセイパシフィックは、新型コロナワクチンを迅速かつ有効に配布するために大きな役割を果たしました。2月には、北京から100万回分のシノバック社製のワクチン、フランクフルトから100万回分のフォスンファーマ社、バイオンテック社製のワクチンを香港に輸送しました。メキシコ、マレーシア、インドネシアにもワクチンを輸送し、現在までに5,000万本以上のワクチンを輸送しています。

また、慎重なコスト管理に重点を置き、2020年に導入した現金保全策を継続しています。 燃料費以外のコストは33.5%減の168億7,500万香港ドルとなりました。役員報酬を2021年通期で削減し、8割の従業員が、3度目の導入となった無給休暇制度を自主的に受け入れました。一時帰休、無給休暇、自主退職、早期退職などの制度を、多様な従業員グループを対象に世界的に導入しました。これらの制度に参加してくれた、すべての従業員に心から感謝しています。

2021年上半期の総燃料費(燃料ヘッジの影響前)は、前年同期比26億8,200万万香港ドル(50.2%)減となりました。これは、燃料消費量の減少によるものです。

 

2021年度上半期 関連会社と子会社の業績

香港エクスプレスは、前年同期の7憶7,900万香港ドルの損失に続き、2021年上半期に9億7,600万香港ドルの損失を計上しました。香港拠点の乗務員への影響に加え、旅客需要の低迷と新型コロナウイルス感染症に関連する渡航制限および検疫要件による影響を受けました。

エアホンコンは、貨物市場における需給バランスの不均衡が続いていることの恩恵で、黒字を達成しました。同社はキャセイパシフィックの臨時便を運航しました。

当社の航空サービス子会社の業績は、旅客数および貨物量の大幅な減少により、前年同期より悪化しました。

中国国際航空の業績(3ヶ月遅れで決算書に計上)は新型コロナウイルスの影響を受け、前年同期計上分より悪化しました。

 

財務状況

2021年6月30日時点で、当社が利用可能な制限無し流動性の残高は328億香港ドルでした。上半期には、ミディアムタームノート・プログラムに基づき、転換社債型新株予約権付社債の発行により67億4,000万香港ドル、普通社債の発行により6億5,000万米ドル(51億香港ドル相当)を調達しました。2020年の資本再構成の一環として、香港政府が当グループの利用できる78億香港ドルの融資枠行使期間を12ヶ月延長し、2022年6月とすることに合意したことを歓迎します。これにより、当グループの資産流動性をより柔軟に管理することが可能となります。

 

今後の見通し

新型コロナウイルスの世界的流行は、国境が徐々に開放され、渡航の制限が解除されるまで、当社のビジネスに深刻な影響を与え続けるでしょう。 政府(香港特別行政区を含む)が表明しているように、これは十分に高いワクチン接種率が達成されて初めて可能となります。一部の国内航空市場では回復の兆しが見られますが、旅行規制や検疫措置が国境を越えて旅行に不利な影響を与え続けています。ワクチン接種の進捗状況は心強いものがありますが、市場回復のペースと時期は依然として不透明です。

当社では、新型コロナウイルス感染症による危機以前に運航していた旅客便のごく一部のみを運航している状況です。2021年の第4四半期までにパンデミック前の旅客輸送能力の最大30%まで稼働したいと考えていますが、これは運航や旅客輸送の制限が解除されるかどうかによります。貨物事業については、下半期も引き続き好調に推移すると見込んでいます。 慎重な現金管理を継続し、今年の残りの期間、月毎の現金支出を10億香港ドル未満にすることを目標とします。

キャセイパシフィックの経営陣は、当社の長期的な見通しと、国際的な航空ハブとしての香港の将来性に絶対的な自信を持っています。キャセイパシフィックのプレミアムなサービスと香港エクスプレスの独自の強みと成長性を活かした二つのブランド展開は、市場が回復した際の利点となります。

さらに、プレミアムな旅のライフスタイルブランド「キャセイ」の発展、デジタル・リーダーシップ能力の強化、広い意味でのホームマーケットとなるグレーターベイエリアがもたらす好機を活用するための態勢づくり、持続可能性に関する目標、特に2050年までに炭素排出量を正味ゼロにするコミットメントの達成に引き続き尽力します。

最後に、非常に困難な状況下で、プロ意識を持って献身的に働き続けてくれた従業員に感謝します。特に乗務員の皆さんは、厳重な検疫や新型コロナウイルス関連の要件による厳しい課題の中、見事に職務を遂行してくれました。

2021年8月11日

キャセイパシフィック航空 会長

パトリック・ヒーリー

※「キャセイ」は香港のみで展開され、日本を含むその他の地域では「キャセイパシフィック」が引き続き当社のブランドとなります。